抹茶モンブラン
 タバコの香りの小山内さん。

 やっぱり何となく違和感があった。
 でも、私はこの強引な展開によって、小山内さんを少しは男性として受け入れられるかもしれないという賭けをしようとしていた。
 光一さんより好きな人は絶対現れないと思っているけれど、小山内さんの優しさに甘える事で彼との別れをハッキリと自覚出来るのではないか……そんな無謀な事を思ったりしていた。

「シャワー使いますか?」

 そう聞かれて、私はフルフルと首を横にふった。
 今何か行動をしろと言われても、何も出来そうにない。

 私がもう今にも泣きそうなのを見て、小山内さんも困った顔をした。

「帰りましょうか。こんなつらそうなあなたを抱こうなんて思ってませんよ、僕だって」
「いえ、ちょっと慣れるまで時間がかかるだけです」

 私は光一さんを忘れるのに必死だった。
 小山内さんと男女の関係になる事で何か変化が出るなら、大人の女だもの……そういう選択だってありだわ。

 私らしくない虚勢を張った言い訳を自分に何度もささやきかける。
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