理想の男～Magic of Love～
「ご苦労様です」

労いの言葉をかけると、彼女は俺に笑顔を向けてきた。

その笑顔に、俺は自分が恋に落ちたことを知った。

ショートカットの黒髪と少し童顔な顔立ちが、第一印象だった。

その童顔な顔を崩してまで見せるその可憐で素敵な笑顔が、俺の心を強くつかんだ。

胸元の名札には、“小林愛莉”と書いてあった。

俺は、愛莉に恋をした。


配達を担当していた彼は、リハビリに専念するために店を辞めることになった。

彼が辞めたのは残念だったけど、俺には好都合だった。

何故なら会社が休みの土日以外、配達先で愛莉に会えるからだ。

――ご苦労様です

そんな労いの言葉と素敵な笑顔に毎日会えるからだ。

それがとても嬉しくて、俺の毎日の楽しみだった。

配達先で愛莉のいろいろなことを知るのも、毎日の楽しみの１つだった。

あのコンビニのあのシュークリームが好きとか、コーヒーには砂糖を入れるとか…そんな小さなことばかりだけど、愛莉のことを知れるから嬉しかった。
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