理想の男~Magic of Love~
かわいそう、ですって?

そう言った浩治に、私はイラついた。

そう思っているんだったら、あのカップルに向かって何か言えばいいじゃない。

一言二言、カップルに向かって文句を言えばいいじゃない。

一言二言、カップルに注意をすればいいじゃない。

かわいそうだと思っているんだったら、何か行動をすればいいじゃない。

そうしたら、10代のアルバイトの彼女の心は少しでも救われていたはずだ。

なのに、浩治は“かわいそう”と一言呟いただけで何もしなかった。

レジで会計を済ませて、コンビニを出て、家に帰った私の機嫌が悪かったのは、言うまでもない話だ。

それ以降から、浩治の優しさや態度にイライラすることが多くなった。

当の本人は、恋人である私の気持ちに気づいていない。

気づいていないから、私にプロポーズをしたのだろう。

 * * *
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