理想の男~Magic of Love~

「俺は、愛してる」

あれから3ヶ月が経った。

「――やっと片づいたな」

ソファーやベッドなどの大きな荷物がなくなった部屋を見回した後、藤が言った。

荷物があっても充分広かったけど、今は今で広かった。

「悪いな、仕事が休みだって言うのに手伝いを頼んで」

そう言った藤に、
「いいの、気にしないで」

私は笑って返した。

浩治と婚約を解消した後、私は2ヶ月前からデパートでパートとして働き始めた。

少しでも、藤の役に立つためにだ。

「後は蘭に鍵を返すだけだな」

藤はそう言って鍵を見せた。

2人で玄関に向かった。
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