理想の男~Magic of Love~
「――愛莉…」

「――あっ…」

首筋に触れた唇に、口から声がこぼれ落ちる。

「――愛莉…」

バリトンボイスと吐息が、躰に心地いい。

本当に、堕ちて行きそうだ。

広いその背中に、私は両手を回した。


チュンチュンと、すずめの鳴き声が聞こえる。

――昨日は、ずいぶんと飲み過ぎたみたいだ…。

痛む頭に目を開けることができない。

肌触りのいいシーツとフカフカのマットレスから躰を離すことができない。

――えっ…?

私の家のベッドって、こんないいものじゃなかったはずだ。

「――イテテ…」

痛む頭を押さえながら、私は躰を起こした。
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