理想の男~Magic of Love~
今日は私の実家に行く日だからだ。

つまり、私の両親に結婚のあいさつしに行く日だ。

「おみやげ、これでよかったか?」

浩治が私の膝のうえに置いてある紙袋に視線を向けてきた。

紙袋の中身は、先ほど和菓子屋で買ってきた豆大福が入っている。

「うん、お父さん豆大福好きだから」

私が首を縦に振ってうなずいて答えたら、
「そうか、喜んでもらえるといいなあ」

浩治は両親に会えるのが楽しみだと言うように笑った。

――喜んでもらえないよ、きっと。

そう言って、その笑顔に水を差したくなった。
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