浮気は、いいよ。
家に着き、2人無言でリビングに行く。
ソファに座ると、優里は立ったまま薄っすら目に涙を溜めてオレを睨んだ。
「・・・・幸太郎は、ワタシの事馬鹿にしてるの?? 昨日の話は何だったの??」
優里が怒りを抑えながら静かに口を開いた。
「・・・・オレ・・・やっぱり優里と離婚したくない」
「・・・・なんで??」
優里が真っ直ぐオレを見る。
「優里が好きだから」
優里を見つめ返すと、視線を外す様に優里が目を閉じて溜息を吐いた。
「・・・・そんな嘘、今どーでもいいんだよ。 慰謝料が引っかかる??」
優里が震える腕を擦っていた。
怒りで震える人を見たのは初めてかもしれない。
こんなに怒っている優里も初めて見た。
オレの浮気を知って離婚を切り出したときでさえ、優里は悲しそうにしていたけれど、オレに怒りを見せる事はなかった。
「・・・・嘘じゃない」
「・・・・いい加減にして。 幸太郎のしてる事は沙耶香にも失礼な事だよ。 分かってる??」
優里は声までも震わせ始めた。
「・・・・ワタシがどれ程考えて、どんだけ悩んだと思っているの?? 慰謝料が問題なら弁護士さんと相談して。 ワタシには分からない。 弁護士さんに全部お任せしてるから。 沙耶香の分も払うから大変だもんね」
「さっきから『慰謝料、慰謝料』って・・・・。そんなに金が欲しいなら全部やるよ!! だから・・『パシン』
『だから、ずっとオレの傍にいて』
1番言いたかった言葉を、優里の平手打ちに遮られた。
初めて優里がオレに手をあげた。
優里がオレを叩いた手を見つめながら
「・・・・・わぁぁああ」
声にならない声をあげて泣き崩れた。