それだけ ~先生が好き~


「まぁ、でも本当に暗くなってきたから帰らなきゃな」


「先生・・・仕事大丈夫?忙しくない?」


最近ずっと心配していたことのひとつでもある、先生の仕事。


私と話すことが先生にとってもシアワセだっていうのは信じてる。


だけど・・・やっぱり忙しいよね。


会議とかだって、あるわけだし。



「何言ってんだよ、大丈夫だよ!お前は心配しなくていいんだよ」


「でも、無理しないでね」


「ありがと。そう言われるとなおさら離れたくねーなぁ・・・」


手をつないで、二人で窓の向こうを眺めた。


さっきまで私達を照らしていた光は、少しずつ弱くなっている。



もうすぐ夜がやってくる。



暗くて寂しい夜じゃない。


きらきらと星が瞬く夜。



そうだよね、先生。




「じゃぁ、帰るね。今日はありがとうございました」


「うん、俺こそ。また何か辛くなったりしたら言えよ。そんときは出動するから!」



相談室から出ると、一人の先生が窓を閉めていた。



「あ、松戸先生、お疲れ様です」


1年の体育の先生。


「お疲れ様です」


先生はその先生と目で頷きあって、私と一緒に昇降口へ向かった。




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