それだけ ~先生が好き~



「今日体育だ~!!何やるんだろ・・・マラソンかなぁ」



寒いからやだな、と言いつつも笑顔の晴香。


先生に・・・会えるもんね。

その気持ちが痛いほどわかるよ。



「女子は2・5キロだっけ?きついよね~」


「うん、でも先生に頑張れって言われたら・・・」



その先は聞かなくてもわかるよ。


それよりも、後ろから聞こえてくる足音に、私の心が落ち着かない。



「おはよう~」



やっぱり先生。


この挨拶が私にとってすごくすごく大事なんだよ。



「おはようございま~す。先生寒そうだね!」


「寒いよ。バイクで来るから寒くて寒くて・・・」



先生のダウンを引っ張って遊んでる晴香がうらやましい。


私は・・・自然と一歩後ろを歩いてしまう。



もう、泣かないよ。



先生は少し振り向いて、私の顔を見た。



「じゃあね、晴香」


せっかく振り向いてもらったのに、タイミング悪く私の教室に着いちゃった。



先生と晴香は、二人で肩を並べて自分達の教室へ向かう。




いいなぁ。


私も今日体育・・・あったっけ。






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