それだけ ~先生が好き~


無理して笑顔を作った私を、先生は強く抱きしめる。


苦しいよ、先生。



「無理すんなよ・・・俺、確かに暇じゃないけどさ、いつでも聞くよ」


「今は、先生に心配してほしくないんだ。もうすぐ修学旅行だから」



思わず、本音を言っちゃった。


「お前は・・・なんでそんな、気をつかうんだぁ?お前に頼られるならいつだって嬉しいんだぞ」


「ううん、でもだめなの。大丈夫、我慢する。約束したじゃん、先生!!」


バレンタインの日、オレンジ色の光がさすあの教室で約束したよね。

もう3年生だから、我慢するねって。


我慢できる。


少しは強くならなきゃ。



「・・・本当に、いいの?」



やっと身体を離して、顔見れた。


優しすぎる先生は、本当に心配性だね。



「うん!へーき!!」



先生といると、気持ちが軽くなる。


大丈夫だよ。


離婚・・・なんて、きっと違う。


そう信じたい。



先生は、もう一度抱きしめて、「修学旅行終わったら、すぐ話そうな」って言ってくれた。


楽しんで来ようね。


私の空元気は、先生のおかげで本当の元気になったんだよ。




ありがとう。



< 389 / 522 >

この作品をシェア

pagetop