それだけ ~先生が好き~




涙が溢れた。





先生が、笑ってくれた。



優しい、大好きな笑顔で、笑ってくれた。


涙を、その優しい手で拭ってくれた。


ぽろぽろ流れて、止まる事のない涙が、頬を伝っていく。


それを、先生の指が受け止める。





「すぐ泣くなぁ・・・別にいいけど。泣き虫!」



かわいい笑顔を私だけに向けてくれた。




「好きです・・・好き・・・先生好きぃ・・・うぅ」



「わかったよ・・・ありがとうな」



そう言って、優しく・・・抱きしめてくれた。


温かい腕が、私の背中にまわる。


耳元に、先生の顔。


ドキドキする。




ぎゅう・・・って、抱きしめてくれる。



「好きだ」


何度言われても、涙が出る。





空は、優しいオレンジ色をして、カーテンの隙間から私たちを見守っていた。





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