† Lの呪縛 †
お互いまだ名前ぐらいしか知らないのに、昔から友達であるかの様な雰囲気に包まれている。



「もうっ! 笑わないでよ!!」

「うわ……っ」



オリヴィアが突然振り向き詰め寄ると、ヒューイは驚きのあまり手すりからずり落ちそうになり、慌てて手すりにつかまった。



「ふぅー、危なかったぁ……」

「ぷっ、あはははは」

「落ちるところだったじゃないか」

「ヒューイが悪いんでしょ」



ヒューイはくちびるを尖らせ、壁に凭れると器用に胡座をかいた。


態とらしく指をいじいじ動かすヒューイを見て、オリヴィアは余計可笑しくて堪らなくなった。



「ごめんったら、機嫌を直して」

「じゃあ……僕の顔を見て」

「? 顔を見ればいいの?」



コクコク頷くヒューイを笑いを堪えながら見上げた。


ヒューイはいじけ顔でオリヴィアを見下ろしている。



「にゃっ、にゃに!?」



ヒューイは素早くオリヴィアの両頬を摘み、悪戯っ子の様な顔をすると、オリヴィアの顔に顔を寄せた。


オリヴィアはギュッと目を瞑り、その間にヒューイの唇がオリヴィアの丸みのあるおでこに触れた。


本の一瞬の出来事ではあったが、オリヴィアの心臓を煩くさせるには十分な時間だった。



「お仕置きだよ。 じゃ、またねっ」



スッキリとした笑顔を残して、ヒューイは手すりから飛び降り帰って行ってしまった。


オリヴィアは部屋の中へ駆け込み戸締りをすると、ベッドへ勢いよくダイブし潜り込んだ。


両手でおでこを押さえ、煩く騒ぐ心臓を落ち着かせているうちに、眠りについた。





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