teddy bear
中に入ると、テディベアがこれでもかってほど並んでいた。
うわぁ、うわぁー…テンション上がる!
「…なぁ華、これ良くない?」
すっかり機嫌が直った透也が、あたしを手招きする。
「…うわぁ、可愛い!!」
抱きしめ合って、顔だけをこっちに向けるテディベアのペアストラップ。
「…あぁ、これ磁石なんだ」
透也はテディベアの可愛らしい手をほどいて感心している。
「…これ、欲しい」
「はぁっ?」
マジかよー、とかぶつぶつ言いながらも、透也はそのペアストラップを買ってくれた。
会計を済ませた透也は、紙袋を持ってあたしのところに来た。
あたしはお礼を言って紙袋を受け取ると、言った。
「ね、透也、あれ欲しい」
透也に意地悪したくなって、あたしは棚の1番上に置いてある大きなテディベアを指差した。
あたしのわがままを聞いた透也の表情が、一瞬にして強張る。
「……華、マジそれは勘弁ー」
透也は先に店を出ていった。