An opening of such a love
「はい。小日向は今年も出勤と」




「え?マジっすか?」




「マジに決まってるだろ?お前彼女いないんだから」





花火大会の一週間前


家庭持ちの上司が俺に言う。




いいよなあんたは休暇が取れるんだから。




大体借り出されるのは決まってる。




もう花火なんかに興味のない


40~50代のおっさん



今まで一度も彼女なんていたことのない



後輩の神童。




それからどっかの派遣と俺。




毎年お決まりのパターンだ。





「お前は毎年、夏まで彼女もたないよな。いっそのこと出会い系にでも登録してみれば?」





そうやって鼻で笑うのは俺と同期の田辺。


こいつはいつも休暇を取れるからな。
 
毎年連れてく女は違うけど。


俺だってもてないわけじゃねえんだ。




ただいつもこの時期になるといないってだけで。




ほんとこいつの言うとおり


いっそのこと出会い系で




その場しのぎの女でも作ろうかと


思ったことだってある。




でもそんなことするくらいなら


まだ出勤のがいいかなって思ってやめた。
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