羽を失ったあげは蝶
 
 
 
 
 
水城の腕から抜け出して屋上から出ようとしたら



「あげはさ、知ってる?
実は蝶々も本能しかないからあげはと一緒であんまり何もできないんだよ」



なに突然...

自分はこんな頭良いんですアピール?


てか私と一緒で何もできないって...

なんだかムカムカしてきた。


こんなやつに抱きしめられてドキドキしてた自分がバカみたい。



話を聞いているのもバカバカしくなって本当に屋上からでていこうとしたら、



急にドアノブを掴んでいる右手の反対の腕をぐいっと引っ張られて



「きゃっ!
ちょっ...とっ!」



「何すんの!?」と続けたかったのを飲み込んだ。

理由は水城と向き合う形に反転させられたから。

いや正確には彼のこの色素の薄い綺麗なアーモンド形の目に見つめられて言葉がでなくなったのかもしれない。

そしていつものニコニコが消えた顔で



「でもね。
そんなダメダメな蝶々でも出来ることが一つだけあるんだ。
...むしろそれしかできないんだけどね?」



 
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