天使の歌
「五月蝿いっ!!」
気が付くと、少年は耳に手を当てて、叫んでいた。
キュティは驚いて何も言えず、少年を見つめる。
大人気ないと解っていて、それでも胸を焼く痛みに耐えられず、少年は髪を くしゃっと掴んだ。
「……俺は……只、誰の言葉も聴きたくなくて……逃げてるだけだ。俺だって、そんな事……解らない……。」
キュティは まだ固まったままだったが、やがて ふっと哀しげに顔を歪ませた。
「……そっか……貴方にも、解らないんだ……。」
そして。
「!?」
キュティは、自分の首に掛けていたヘッドホンを、少年の耳に当てた。