天使の歌
気が付くと、キュティとセティは、何処か知らない、森の中に居た。
「……今、の……。」
茫然と呟くセティを、キュティは見つめ、微かに笑った。
「上手く行って良かった。実戦で やった事、無かったから。」
「……歌で、神霊(みたま)を操ったのか?」
「操ってないよ。私は只、頼んだだけ。」
セティは起き上がろうとして、傷が痛んだのか顔を顰めた。
「そんな事が、出来るのか?」
「他の皆は どうだか解んない。私は、人間の血が在る所為で、神霊(みたま)を集める力が弱いの。だから、声で呼び寄せるんだ。」
キュティは地を見つめ、でも、と呟く。
「歌だから……本当の戦いで使えるのか、不安だった。緊張とか、恐怖とかで声が震えると、上手く呼び掛けられないから。」
キュティはセティに、にっこりと微笑み掛ける。
「ちゃんと出来て、良かった。」
「良くないだろ!?」
セティは いきなり がばっと起き上がると、キュティの肩を掴んだ。