王に愛された女



 ミィナの言葉に、フィオーレは黙り込んだ。

「お父様?」

「…今から王宮へ行こうか」

 フィオーレはミィナの華奢な腕を掴み、王宮へ向かって歩き出した。

 「あの日」から早十年。

 フィオーレは王宮の重臣の職につくことに成功した。

 仇の孫娘メランコリーと結婚し、九年前にミィナが誕生したのだった。

「…王宮へ?」

 今、この国はルーク国王が支配している。

 オラシオンが国王だった時より治安は悪いが、重臣になれば生活は安泰するため、フィオーレとしては王が誰でもあっても損得は変わらない。

「…そうだ」

 自分の疑問が解決されるのか、メランコリーは信用していないのか不安そうな顔をする。

「…安心しろ。オマエの疑問はきっと、解決されるさ」

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