【短編集】ライン
こんなに弱っている彼は、久しぶりだった。
予想外にも、自分の胸が締め付けられているのがわかった。
無理に顔は上げられないから、代わりに、彼の背中に腕を回す。
ピクッと、体が動いた。
この気持ちが、彼に対する同情なのか、愛情なのか、自分では分からない。
解らない。
判らない。
だけど、彼は腕に力を込めたから、私も抱きしめる手に少し力を入れた。
まるで答えのように、ただ抱きついた。
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