あぁ、目の前は真っ暗だ。まるで海底のよう、それが私は怖い、怖くてたまらない。そんな私の震えてる手を、優しく包み込んでくれる少年、私と同じぐらいの歳。その少年は笑ってる、だけど瞳の奥はどこか寂しげ、そんな瞳をしないで、こっちまで寂しくなってくるから…。私は名前も、住んでいる場所も知らない少年に言う。でも、その少年はもっと悲しそうな瞳をするだけだった。そして、少年はもう一度ニッコリ笑って、私に何か言ってくる。だけど聞こえない、口の動きしかわからない。少年は口を閉ざすと、ゆっくり私の手をほどいて、闇に消えていく。行かないで。私をまた1人にしないで、もう1人になりたくないよぉ、ねぇ…

「由美?ねぇ、由美ぃ?」

友達の声が頭に響く、私はゆっくり瞼を開ける。そう、あれは夢、小さい頃から見ている夢

そして、この夢を見たあとは必ず、
涙が流れる

私は涙をぬぐい、

「あぁ、咲」

いつもの、日常生活に戻る
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