トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
クラス教室の集まる棟に行くと、男子達の声がする。


まだ残ってたんですか。



声はどんどん大きくなり、それは、私のクラスからだった。




誰でしょう。



戸の隙間から覗くと、浪瀬とその仲間たちだった。



チキンな私はこの中に入る勇気もなく、様子見。



彼らは私に気付くことなく、話しを続ける。




「そういや浪瀬、あれからどうなったんだよ」


「あれ?」


「とぼけんなって。2ヶ月前のバツゲームの話だよ」



バツゲーム?



「ああ、あれな。………まぁ、ぼちぼち?」


「ぼちぼちって、お前が苦戦か? らしくねえな」


「本当のこと言えよ、浪瀬が迫ってオチない女はいないだろ」


「外歩いてるだけで彼女に困らなかったじゃねぇかよ」


「ははっ……」


「安田野枝が浪瀬に告白するに千円賭けてんだから」


「俺は二千円」


「わかってるよ」



バツゲーム。
私が浪瀬に告白。
賭け。


なるほど。

ようやく納得のいく答えが導き出せた。


浪瀬は何かしらのゲームに負け、私を落とそうとした。

私が浪瀬に告白したら、浪瀬の友人達の勝ち。

てことは、誰も賭けていないだろう告白しないは浪瀬の賭け分になるかしら。
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