トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「あ」



「よお」




奴も私に気付いて足を止めた。



「なんだ、忘れ物か?」



「うん……」



間違ってない。


教科書ノート筆記用具、全て上にある。




奴、浪瀬の手には資料集。


そういえば使うって言ってたっけ。



コイツの場合は忘れ物か。



私も先に荷物運んどくんだったな。



そしたら遅刻せずに済んだのに。




なんて、思考を飛ばしていて気付いた。




今、浪瀬と二人きり。




もしかしなくてもチャンスなんじゃ……。




この関係を終わらせる為の。




ごくりとつばを飲み込み、声を出そうと口を開いた瞬間。





「浪瀬ー、時間………っと、悪ぃ。邪魔したな」




下の階から浪瀬の友達が来た。



「っおい!」



浪瀬に呼びとめられるが、私はしっしっと手で払い、クラス教室に向かう。



追いかけられることはなかったので、浪瀬は授業に行ったのだろう。



私は授業開始のチャイムを、クラス教室で聞いた。
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