グッバイ・ティラミス



「ここは形式主語であるから…、」

「うん。」



先生が問題の例文を、真っ白な紙に書き写していく。先生の字は、真っ直ぐで男の人にしては綺麗で、力強い。


まるで、先生そのものを表してるみたいだ。
出来上がった英文を見て、そう思う。



「だから、実際の主語はここになるんだけど…。」

「うん。」



……あ、先生、こんな所に黒子がある。


少しだけよそ見した時に視界に入ったのは、首すじにある黒子。ちょうどうなじの所に乗っかっていて、なんだか色っぽい。



「この例文の場合は、関係代名詞があるから…、」

「……。」

「ここまでが、ちょっと長い主語になる。」

「……。」

「…、望月、聞いてる?」



…あ、やばい。
黒子に夢中になってたら、先生の話を聞くの忘れてた。


名前を呼ばれたことに反応して、ビクンと肩を揺らしてしまう。
こんなんじゃ、聞いてなかったのが、バレバレだ。




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