グッバイ・ティラミス



そんな笑顔に、少しだけ違和感を感じる。


なんでこんな話を先生が持ち出すのか、イマイチ真意が掴めない。



「大事な彼女さんに、ごめんなさい…。」

「あー、別にいいよ!なっちゃんに怒ってるとかそんなんじゃなくて。」



じゃあ、一体なんなんだ。


不自然なくらいの、張り付いたような笑顔に私の不信感は積もるばかりで。


彼女を困らせたことを、怒ってるんじゃないの?

だったら直接言えばいいじゃん。
回りくどいことなんて、しなくていいよ。



先生に怒られれば、私は自分の嫌な感情を素直に認めて、反省することができる。




「アイツ、ダメ教師だからなぁ…。」

「……。」




ーーそれ、知っていたの?




中村先生が生徒の顔色を伺ってばかりの、あまり好ましくない教師だっていうこと。

中村先生が生徒になめられていて、授業はいつも五月蝿いこと。中村先生が生徒に嫌われていること。



先生は知っていたの?




それでも、中村先生のことが好きなの?








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