嘘吐きなその唇で



緊張を取り戻した心臓が、再び激しく鼓動する。



嫌な予感しかしない私の背中を濡らす冷や汗。



彼が何かを言い出す前に逃げたい。



いや、逃げなきゃ!



『私、帰り、……ます』



何とか言葉を絞り出した私は、朝比奈さんの脇を通り過ぎる、が。



「灑良さん」



ピタリ、と動きを止める足。



あぁ、困ったものだ。



私の体は素直に反応してしまう。


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