嘘吐きなその唇で
「ここは大人に任せなさい。津田さんは、まだ子供でしょう?真っ直ぐ家に帰りなさい」
ごもっともなことを言われた雅哉は、二の句が継げない。
それでも、反論の言葉を言いたげな表情をする彼に、「高校生なんだから、それくらいわきまえなさい」と朝比奈さんはピシャリと言った。
ほんと、あなたって能天気な人なのか思慮深い人なのか、いまいち分からない人ね。
「さて、帰りますか」
『そうですね。私を送って下さる方が、“朝比奈先生”っていうところに不満がありますけど』
「それなら、俺を白馬の王子様だと思えばいい」
『あら、私の目がおかしいのかしら。格好いい王子様が見当たらないわ。それどころか、白馬の登場もないわね。レディーを歩かせるなんて、男失格ね』