牛乳




そうして呼びかけてあげるのだ。去っていく背中に投げ掛けるのだ。サエコ、ではなく、彼の名前を。黒い闇夜を垂らしたような、艶やかな髪色を目蓋の裏に浮かべる。王様に嫉妬され、殺された哀れな騎士。だのに、不可思議なことに、騎士の名前は誰も知らない。

小宮は二段飛ばしで階段を登る。額をさらりとした汗が伝った。蝉の声が、青々と輝く穹嶐に谺している。牛乳の入ったコンビニ袋を片手に、駆け上る。暫く行くと、漸く彼の瞳に踊場の景色が映った。ごくり、唾を飲む。

彼はゆっくりと口を開いた。

< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:8

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

エドガーさんと

総文字数/644

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
エドガーさん、ハロー (続くかもしれないし、続かないかもしれない)
ジャンクブック

総文字数/16,873

その他17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
彼は言いました。言いました。 「繰り返される、それが物語」 お題募集中
まほうつかいといぬ

総文字数/10,309

青春・友情23ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
空をくれた彼は たぶん、魔法使いだったんだ Thanks for mira!様 高山様 蒼井深可様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop