♡祐雫の初恋♡
 
 その念が通じてか、街中で、偶然に祐雫を見つけることができた。


「あら、桜河祐雫さんでしたわね」

 まだ乙女の域を脱していない紺色の清楚なワンピース姿の祐雫を

 上から下まで見下ろして、

(このような小娘に慶志朗を横取りされるなんて)

 麗華は、苛立ちを覚える。


「お久しゅうございます、麗華さま。

 ご機嫌いかがでございますか」

 祐雫は、煌めく美しさの麗華に見惚れながら、お辞儀をする。


「おひとりなの」

 麗華は、輝く髪を後ろに靡かせて、作り笑いを浮かべた。


「はい。図書館へ参るところでございます」

 祐雫は、麗華と再会できたことをこころから幸運に思う。


 麗華は、幼さを残す祐雫の表情を見るにつけ、

 ふつふつと嫉妬心が燃え上がる。


(慶志朗の眼は、一体何を見ているのかしら。

 全く理解に苦しむわ)


 麗華は、微笑みの裏で、拳を握りしめていた。



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