♡祐雫の初恋♡

 待ち合わせの日。

 梅雨明けして以来、連日暑い夏空が、続いている。



 祐雫は、少し早目に桜川駅へと向かい、

 慶志朗は、祐雫が駅に到着すると同時に車で現れる。


 初めて祐雫と慶志朗が出逢って以来、二度目の夏が訪れていた。


「祐雫さん、お待たせしました。

 ようやく祐雫さんとゆっくり会える時間が取れました。

 ぼくのことを忘れてしまったのではありませんか」


 慶志朗は、何時もの掴みどころのない表情で、祐雫に笑いかける。

 白いシャツが夏の陽射しに反射して、

 祐雫は、眩しくて瞳を細める。


 慶志朗は、車から降りると、

 助手席の扉を開けて、祐雫へ席を勧めた。


「嵩愿さま、お誘いくださいまして、ありがとうございます」


(忘れるなんてことはございません。

 お逢いできない分だけ、想いが募るばかりにございます)


 祐雫は、声には出せずに、こころの中で応える。

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