♡祐雫の初恋♡

「祐雫さん、こちらへ」


 慶志朗は、祐雫の手を引いて、踊り場横の扉を開けると、

 屋根付きのテラスに出る。


「雷雨の後には、虹が見えそうです。

 特に祐雫さんと一緒のときには、必ず見えるはずです」

 慶志朗は、雨雲の先を指示した。


「まぁ、副虹(ふくこう)でございます。

 仲良しの虹にございますね」


 祐雫は、(慶志朗さまと私のよう……)

 と、心の中で感じ入っていた。



 慶志朗は、しばらくの間、無言で副虹を見つめていた。




「祐雫さん、大切なおはなしがあります」

 慶志朗は、何時にない真面目な表情を見せて口籠る。










< 190 / 201 >

この作品をシェア

pagetop