♡祐雫の初恋♡

 慶志朗は、祐雫の可憐な笑顔を思い出しながら、

 別荘への道を後戻る。



 途中で、森の小径を振り返り、

(何故、都に戻ってから、お会いしましょうと誘わなかったのだろう)

 と悔やんでいた。



 まだ温かみが残る祐雫の手の柔らかな感触を想い出しながら

(きっと縁があれば、また逢えるはずだな)

 と思い直して、帰りの道を急いだ。



 不思議なことに、別荘までの道程が往きと比べて、

 とても長く感じられた。


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