♡祐雫の初恋♡

「従妹の桜河祐雫と申します」


 祐雫は、美しく華麗な従姉の香を見知っている相手の視線を受けて、

 香と比較されているような気分に陥って、伏し目がちになる。


 それとともに、身に付けている綿ローンのワンピースの透け感が

 気になって、赤面しつつも会釈を返す。

 

「なるほど、桜河電機の……

 兄上にはお会いしたことがあるけれど、

 噂の通りそっくりですね。


 あっ、失礼、

 ぼくは、嵩愿慶志朗(たかはら けいしろう)です」


 慶志朗は、香から連想して、

 どこかで見たことがある顔立ちに思い当たり、

 温厚な優祐の顔を思い浮かべて、祐雫と重ね合わせていた。







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