奏でる場所~SecretMelody~
でも。



「「わーっっ!!」」



相手に1点決められ、5対3になってしまった。



だめだ。



…負けるっ…。



俺が…やらないと…



俺はベンチから立ち上がり、ひょこひょこしながら、監督の元へと向かった。



「監督。」



「ん?拓斗、どうした?」



「出してください。」



「え?」



「俺を試合に出してください。」



一瞬ベンチに沈黙が走る。



「何言ってるんだ?その足で走れるわけないだろう!」



だろうな。



こう言われると思った。



でも、俺は諦めるわけにはいかねーんだ。



宙に見せねーといけないんだ。



「お願いします!」



「そう言われてもなぁ…。その足じゃ…。」



「大丈夫です!絶対逆転して見せますから!ここで負けるわけにはいかないんです!」



「…よし。分かった。行ってこい!」



…!!



やったっ!!



監督がOKを出した時、シンとしていたベンチがざわついた。



「か、監督!?正気ですか!?坂下はこの状態なんですよ!?」



「心配しないでください。先輩。俺、逆転してきますから。」



そう言い残し、俺はコートに入っていった。



周りから再び女子の歓声が聞こえる。



「「キャーーッ!!拓斗様ー!!」」



俺は全神経を足に集中させた。



…痛い…。



けど、痛くない!



絶対…。勝つ!!―――――宙のためにも。



すると、前方からパスが飛んでくる。



俺は足が痛いなんて気にとめず、全速力でドリブルして、3人抜く。



そして、フェイントをかけ、シュートする。



俺の蹴ったボールはシュルシュルと回転し、ゴールに吸いこまれて行った。



よし、これで1点差。



俺はもう1点を違う手でシュートし、5対5となる。



はい、同点。



残すはあと1点だ!
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