きみに会える場所~空の上ホテル~
「まあ」

ゆり子さんは目を輝かせた。パチパチと拍手をする。

「でかした、後輩!」
「そ、それほどでも」

私は頭をかいた。図書館でこっそり食べようと思ってただけなんです・・・

ゆり子さんは何か考え込んでいた。

「ねえ、まだ時間ある?」

「はい」
私はうなずいた。あるも何も、ここで困ってる人を見つけて何とかしないと、そもそも帰れません。
でも話すと長くなるので省略する。

「ちょっと待ってて」
ゆり子さんはベッドの反対側に置いてあったスーツケースを持つとバスルームに消えた。

私は紅茶を飲みながらぼうっとしていた。時間つぶしは大の得意だ。

さて何からしようかなと考えているとバスルームのドアが開いた。

「お待たせ」

「全然お待たせなんてしてないですよ」と軽口を叩こうとして、私はそのまま固まってしまった。

ゆり子さんがジャージにトレーナーという格好で立っていた。
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