籠の中
一年後の道しるべ
 空を漂う雲のように、ゆっくりと時を刻む。あれ以来、由美とは会わなかった。連絡もなかった。街ですれ違うこともなかった。僕はいつものように朝食の用意をし、顔を洗い、歯を磨き、風呂に入った。郵便ポストの中身を確認し、請求書と住宅のチラシが数枚と差出人不明の封筒が一枚は入っていた。僕はチラシをゴミ箱に捨て、請求書の中身を確認し、金額を頭に叩き込んだ。そして最後になった差出人不明の封筒の中身を丁寧にハサミで切り取り、切り取った部分をゴミ箱に捨てた。
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