あの子








その女に促された、という理由でなんとかカラオケ行きは見送られた。

みづきとか言う女はしょんぼりして、促した本人を睨むように見ていた。


あーいやだな。そーゆーの。

僕、平和主義だし。女のそーゆー嫉妬とか妬みとか、嫌いだなぁ。



「さっき、何か言い掛けてたのに、ごめんね」

「…は?」


美術室に一応行くフリをしている中、同行した女は床に謝るように言った。


なんだ、分かっててやったのかよ。


本格的に、イヤミか、コラ。


また心中舌打ちすると、今度は笑い声が聞こえた。


「…ふふ……アハハっ」

「なんだよ」


「いや、いつもシラケてるけど、実はゆうくん、女の子に面識無いだけなんだと思ってさ」


は?な、に…




「それに、あたしいつも思いついたこと言っちゃうんだ。

 小5くらいのとき、ミニバスの監督が、

 『へそが茶を沸かす!!!!』って言ってて、

 次の日に友達とカツアゲされたとき、

 『どうゆう意味?』って聞いちゃってさ。

 ほんと、KYで考えたことがすぐ口に出るの」




何言ってんの?コイツ。







< 25 / 58 >

この作品をシェア

pagetop