俺様と闘う私『一部・完』
 そして気が付けば金曜日の朝。

 いつもどおりに配達に行くと、例によって俺様な態度の志貴。


 ―――が、めずらしく玄関に立っていた。



 「お、はよう、ございます」



 ドアを開けて志貴がいることなんてことは「ほぼ」ないので、開けた途端に立っていて驚いた。


 思わずしどろもどろに挨拶してしまう。



 「はよ」



 相変わらずのローテンション。


 嫌なら立ってなきゃいいのに……なんて思うものの、そんなことは言わずさっさと業務にうつるべく商品を鞄から取り出した。



 「明日、だけど」

 「ぅあっ、はい」



 とうとう来た。


 あれ以来何にも言ってこないからもう忘れたのかと思って、あえて無視してたんだけど。


 何を言われるのかと、途端にドキドキと鼓動が加速する。



 「朝10時に来い」

 「は、ぁ……」

 「荷物とかいらねぇから」

 「えと、着替えとか、いるでしょ?」

 「いらん」



 泊まりで人のことを拘束しようとしているのにも関わらず、何も持ってくるなとか無茶なことを言う志貴。


 だけど、ここでやりあったらまた話が長くなる。


 私は気になりつつも、あっさり流すことにした。
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