澄んだ空の下で

漸く彼が立ちあがった事に何故かため息を吐き捨ててしまう。

待ちくたびれたと言うか、疲れたって感じのため息は風とともに流れて行く。


彼が姿を消してから少しの間、立ち尽くしてたあたしは意識が遠のいた様にボンヤリと夕日が沈んでいくのを眺めてた。


…あそこに何が?


そう気になってたあたしは階段を掛け降り、真向かいのビルに向かった。

確かめたかったんだと思う。


何があそこから見えるのか。

1年前から知って、自棄に気になりだしたのは半年前から。

その彼の存在が気になって、確かめたかったんだと思う。


着いたころには体力さえ奪われて、息さえまともに出来なかった。


深呼吸をして見る先は、いつもあたしがいるビル。


同じ高さだとはいえども、やっぱり景色は違う。

いつも居るビルより、ずっと違う景色さえも見える。


「…ここから何が?」


だけど見る限り何もなく、とくにこれといって何もなかった。

同じ様にベンチに寝転がって空を仰いで見たけれど、あっちのビルと同じ空。



…当たり前か。
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