ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

「あさってから一週間ほど、マーガレットとウェスターの城に出かけることにしたんだ。それで、君も一緒に来てくれるよね?」

 何のことか分からずきょとんとしていると、彼はふいに笑顔になった。まぶしいほどの笑みに、とくんとローズの心臓が波打つ。

「君に言われたことを、まったく考えていなかったわけじゃないさ。マギーもがんばって勉強しているようだし、約束どおりご褒美をあげなくてはね。それで君にも世話係りと言うか、話し相手としてついて来てほしいんだ」

「ですが、わたし、ドレスの着付けとかそういうことはあまり……」

 得意ではないと言おうとすると、子爵はおかしそうに笑い出した。

「君にマギーの侍女をやってもらうつもりはないよ、ミス・レスター。君も一生懸命やってくれたから、一週間の休暇だと思ってもらっていい。僅かな間だが田舎でのんびりしよう。秋は短い。すぐに長い灰色の冬がやってくるからね」

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