ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

 翌月初め、ローズは新聞に広告を出して、家庭教師か学校の女教師の口を求めた。

 ミッチェル伯父はそこまでしなくても面倒は見ると言ってくれたが、やはり自立して生きていきたいと思ったからだ。

 子爵はその後一度だけハワード家を訪ねてきたが、それは単なる社交的訪問で、彼女のことには直接触れもしなかったようだ。

 また彼女も決して会おうとしなかった。彼もついにあきらめたのか、その後は一度も訪ねてこなかった。


 夢も希望もない中でも、とにかく生きていかなければならない。

 そのためにはなすことを見つける必要があった。夜ごと彼の夢を見て、見つめる眼差しや最後に自分の名を呼んだ彼の声を思い出しては、ベッドの上で悶々とせずに済ませるためにも。

 彼を思い出すだけで目に涙が浮かび、心が苦痛で引き裂かれそうになる。

 互いのために、これが最善の道だったと、どんなに自分に言い聞かせても無理だった。たとえ一時的にせよ、彼を傷つけたと思うと本当に苦しかった。

 くたくたになるくらい疲れ切れば、きっと夢も見ないでぐっすり眠れるに違いない。

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