ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

 エヴァンは眉間にしわを寄せ、腹立たしそうに壁にかかった肖像画を睨んでいたが、やがてどさりと安楽椅子に腰を落とし、気抜けしたように言った。

「これからは君に工場の管理を任せるよ、カーター。但し、必ず詳細に報告してくれ」

「承知しました。ではわたしもこれで……」

 書類を持って立ち去り際、彼はふと振り返って付け足した。

「エヴァン、あなたのお嬢さんが、はやくお気持ちを変えられるとよろしいですね。これ以上あなたの不機嫌が続いたら、当家の人間はみな神経性胃炎になってしまいます」 

 子爵がさらに目を細めて扉を見やったとき、すでにカーターの姿はなかった。
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