悪魔と過ごす非日常


「魔界？使い？」


良く解らない単語が出てきたので、復唱する。

漫画や小説では結構使われる展開だが、このくそ詰まらない現実では縁のない展開。

未だに理解出来ず混乱している俺を見かねたのか、少女は苦笑いをしながらポケットから紙を取り出した。


「はい。魔界の使い、所謂悪魔ですね。私はあなた、橋森奏さんの魂を頂に参りました」


ね？っと小首を傾げ、目の前に広げられた紙には、俺の名前、顔写真、プロフィールなどが載っていた。


「え？え？悪魔？魂？は？」


必死に理解しようとはするが、頭が追いつかない。

口から出るのは疑問のみ。


「えっじゃあ俺死ぬの？」

「はい」


少女は有無も言わさず返事をし紙をポケットに仕舞う。


「勿論タダでとは言いません。あなたの願いを叶える代わりに魂を頂ます」

「願い？」


俺の問いにコクリと頷き、取り敢えずここから移動しませんか？と言った。

辺りを見回すとちらちらと人がこっちを見ている。

道中でずっと立ちすくんでいる上に、一人で喋っていては普通に考えて変な人だろう。

少女に聞こえるだけの声でそうしようと返事を返すと、ふよふよと俺の後ろを着いてくる。


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表紙・目次

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