ふくらはぎの女(ひと)【完】

「ねぇ私。死んじゃうの?」


亡くなるほんの数時間前だ。

母はいつも自分の事を

私に対して「お母さん」と言っていた。

母の一人称が「私」になったのを

聞いたのは、あれが最初で最後だった。

たくさんの親戚達が

突然自分の病室にやって来たのを見て

母はほんの少し笑いながら

冗談のように私に聞いた。一生懸命。
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