AKANE -もう一度、逢いたい-


目を開けているのが怖くて、ギュッとつぶっていた。


「本当の姿を知ってたのに
言わなくてごめんね」

「知ってたら
言ってくれたら良かったのに」

「ごめん」


本当に申し訳なさそうに謝っていた。


「どこで
あたしだって気付いた?」

「…文化祭で
一緒にミスコンに出た時」

「よく分かったよね」

「雰囲気は全然違うけど、
声が似てるなって」

「…バレてたんだ」


あたしはゆっくりと目を開けた。


前髪がぱっつんになっていて、目の前が明るくなっていた。


そして次に温めたコテで髪を内巻きにしてもらう。


「でも茜に最初に気付いたのは
貴之くんだけだったね」

「…すごいブサイクだから、
みんな気付かないんだよ」


あたしはクスッと笑う。


「そんなこと言わないの!
ほら、キレイだよ?」


鏡に写るあたしはブサイクだった。


「…かわいくないよ」

「茜が自分のことをかわいいと思わないと、かわいくならないんだからね!!」

「…少しは陽平を
見習えってことか」


あたしは1人で呟き、またクスッと笑った。


髪を巻きながら明音は不思議そうな顔をしていた。


「…好きになれるように
頑張れって言いたいんでしょ」

「うん!」


大きな声で返事をされた。
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