きみの王子様になりたかった
王子様は迎えに行く
「機嫌がいいね」
マネージャーに指摘され、僕は微笑んだ。

「アイドルとしての夢が叶ったんで」
「知らなかったなぁ。どんなの?」
「秘密です」

不満そうにするマネージャーに知らん振りして、
僕はそっと手のひらを開いた。

そこにはシルバーのリング。
小学校時代の初恋の相手のもの。

彼女は昔からアイドルが好きだった。
だから、僕はそれを選んだ。
彼女が大好きな王子様タイプのアイドルに。
彼女がすべての目的だった。

見事国民的アイドルグループになると
ファンクラブの名簿には、彼女の名が載った。
そして、握手会に当選させた。

王子様になった僕は、彼女を迎えに行く。

彼氏もカメラも関係ない。
これが、スキャンダルの始まりでも構わない。
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