甘く、淫らな恋情。
 
大会までもう時間がないというのに、自分から誘っておいてレッスンに来なくなるとは、我が彼氏ながら呆れ返ってしまう。

葉山さんも、練習をしても大会に出られなかったら…と、それを心配してくれている。

徹は一体、何をしているのだ。


「では、少し休憩してから続き、始めましょうか」

「そうですね、お願いします」


それに、残って練習したいというあたしにつき合ってくれる葉山さんに申し訳が立たない。

腹立たしい。無性に。


今、練習しているのはタンゴ。

社交ダンスにもいろいろ種類があって、タンゴはかなり情熱的だ。

ほかの受講生たちが帰って急に広く感じる教室、鏡を前にタンゴを踊る葉山さんとあたし。

こうしていると、なぜか抱いてほしいと思うあたしは頭のネジでも飛んでいるのだろうか…。
 

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