ひみつ





彼はどうも出かけるところだったらしく、雑に財布と鍵を床に投げた。



そして私に向き直る。



私の耳元に唇を寄せ、甘美な声で告げた。




「このことは誰にも言うなよ」




『もちろん、彼氏にもな』



と右手の薬指にはまるそれにキスをした。









誰にも言わない。



だから、



だから、



私を愛して。







ひみつはまだ始まったばかり。





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