狐さんに取り憑かれました2【短編】
『な、何ですか少年?』
吃驚しながらも、少年に目を向ける。
口元の両端に置かれた小さな指は、ゆっくりと左右に引っ張られる。
まさか……。
『笑わせて……くれようとしているのですか?』
「!」
コクコクと頷く少年に、ガラにもなく泣きそうになった。
『私は今、笑えていますか?』
コクリと笑いながら頷く少年に、勇気をもらえた。
笑顔の練習……してみようかな。
『ありがとう……少年』
私の口元が微かにほころんだ。
エンド