約束の空【完】
「お腹の中にいる時から女の子だと分かっていたので名前は琴海と決めていました。父と母は、あたしと兄から見てもとても仲が良かったんです。だけど母が亡くなり父は生きていても楽しそうじゃなかった」
七海ちゃんの話に、あたしはパパの顔を思い出した…。
「琴海は一番母に似ているんです」
七海ちゃんは、あたしの髪を触りながら言った。
「それが父には、苦痛だった」
先生は少しだけ顔を顰(シカ)めた。
「そして琴海が4歳の時から琴海を叩くようになったんです」
「え…」
先生は驚いていた。
「あたしたちは知らなくて琴海も言わなかった。」