月夜の翡翠と貴方【番外集】


…依頼屋だとかの、裏の世界で生きる人間にとって、外部の者は皆敵。

酒場でミラゼに問われた時も、この射抜くような視線の中で、息が詰まりそうだった。

『ルト』が大切なのもあるだろうが、それより依頼屋であるルトの近くにいるのが、外部の人間であるとなると。

…どこかで情報が漏れるだとか、ともかくまずいことになるのではないか、と思われるのだ。


だから、耐えなくてはならない。

ルトの隣に、いるためには。


「…怪しいね」


ぽつりと呟かれたレンウの一言に、喉がなる。

怪しくない、なんて言いきれる保証も根拠も、私にはない。

レンウが黙って、…けれど確かに先程より鋭い目つきで、こちらを見ている。


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